人の役に立つことを直接感じられる仕事です。自分のちょっとした気づきが利用者に喜ばれ、「こういうことを手伝ってもらいたかったんだよ、助かるよ、ありがとう」と感謝の言葉をいただくことが多く、その積み重ねで信頼関係が築けるとやりがいを感じます。体調を崩された方や退院間もない方の支援に継続して関わる中で、段々と元気になっていく姿や、できなかったことが再びできるようになった姿を見ると、ご利用者と一緒に喜びを感じます。人生の大先輩から様々な人生体験のお話を聞く機会が多く、自分自身も多くのことを学ぶことができます。

訪問介護員として新人の頃は、訪問中に常に動いていなければならないと思い込み、利用者との会話の時間を取れず、「あの人をよこさないでほしい」と言われて落ち込んだことがありました。ご利用者にとっては会話や人とのふれあいが元気の源だと学びました。また、「若い」という理由で思うように気が利かないと見られることも多く、辛いこともありましたが、一生懸命応えようとする姿勢が信頼関係の構築につながりました。サービス提供責任者としては、利用者と家族やヘルパーとの板挟みになる心労がありました。特に早朝や夕方の時間帯は勤務できるパートさんが少なく、常勤職員が補わなければならず、書類作成などの業務を行う時間を確保するのが難しかったです。

これから高齢者が増え、介護サービスの需要も増えていきます。しかし、介護の仕事は賃金が低く、なかなかやりたがる人が少ないのが現状です。潜在介護福祉士も多く、求人情報でも介護サービスの求人が多く見られます。賃金を上げるだけでは質の高いサービスを提供するのは難しいと思います。介護は「誰でもできる」仕事ではありますが、適切な介護ができるかどうかは働く人の意識次第です。「してあげる」「してあげてる」という意識では、ご利用者の満足にはつながりません。介護を受けるご利用者の尊厳を理解し、「お手伝いをさせていただく立場である」という意識を持つことが重要です。賃金を上げるだけでなく、介護の専門職としての地位を確立しなければ、質が上がらず、誰もやりたがらない職業になってしまうでしょう。

訪問介護の他にもデイサービスや高齢者福祉施設、ケアマネジャーなどの他部署も経験しましたが、ヘルパー訪問の残業は確実に認められるため、ヘルパーの部署にいた時が一番お給料が良かったです。訪問介護は車での移動が多いため、気分転換や気持ちの切り替えがしやすい仕事でした。

利用者の満足度を肌で感じることができる仕事です。人が大好きな方にはお勧めです。人の喜びを自分の喜びと感じることができる人にはぴったりだと思います。介護はただ「何かをしてあげる」仕事ではなく、「この方が今後どのように生きていきたいか」を応援し、どうしたらその目標に近づけるかを考える仕事です。利用者や仲間と一緒に考え、工夫し、少しずつでも実現できた時の喜びをぜひ味わってください。そして、自分だけが褒められるのではなく、チーム全体で褒められることを目指すことで、質の高い介護サービスを提供できるようになります。